質問状に対する県教委回答へのコメント

お世話になります。
本日、県教委から回答が届きました。添付ファイルをご確認ください。
感想としては、相変わらず不誠実だなという印象です。
まず、行政の中立性が歪められたことへの質問に対しては、全く回答がありません(ただし、否定もしていません)。
次に、秋葉さんが被った精神的苦痛への質問に対しても回答がありません(刑事告発は適切な判断だったと述べるだけです)。
さらに、目的外収集への質問に対しても、全く回答がありません。
唯一、一応の回答があったのは、条例63条の文言に関してですが、回答書に書いてあることを読んでもよく理解できません。
結局、「自己の不正な利用を図る目的」という表記が誤っていたということでしょう。
この点につき、回答書には「条例63条違反の要件に該当するという趣旨です」と言い訳が記載されていますが、そうであればわざわざ条例の文言を変える必要はなく、単に条例の文言通りに「自己の不正な利益を図る目的」と書けばいいだけの話です。

こちらの質問状と県教委の回答を比較すれば、どちらに説得力があるのか一目瞭然だと思います。
また、県教委の不誠実・無責任な態度(質問に対してまともに回答しないという態度)もおわかりいただけるものと思います。
以上が、県教委の回答書に対するコメントです。



不起訴処分を受けて (高退教だより156号 寄稿)

 前号において、県教育委員会より刑事告発を受けていた事案は、昨年12月21日付不起訴処分が決定したことをご報告いたします。
前号の発行直後のことであり、いよいよこれからだとも思っていた矢先、高退教の多くの皆様からの支援を頂いたことに大変感謝すると共に何やら申し訳ないような気持です。

 不起訴処分翌日の東京新聞によると、県教委は「現時点ではコメントを差し控えたい」との記事が載っています。
この県教委側の不誠実さを肌で感じている私や高退教の皆様の思いにおいては、この事案はまだ終わっていないと確信します。県教委は告発が間違いであったことを認め、謝罪を公言しなければ、同じような弾圧や教育現場への萎縮行為をするからです。
私、「守る会」、弁護団はそれぞれ抗議文、要請書、質問状を本年1月31日に提出しました。

 政治的中立であるべき県教育委員会が一部保守系議員の圧力に屈し、退職教員の教え子に対する政治教育を弾圧する政党に忖度したとすれば違憲行為です。
目的外使用を何に使ったかは(署名)問わないと言いながら、間違った目的外使用刑事罰の条文意訳、及び不正確な目的外収集を喧伝(新聞報道)し、刑事告発したが不起訴処分になった。それに対し、県教委は当事者への謝罪や県民への説明責任を果たすべきです。
私への勧告から1年の後、突然、校長人事も握る教育振興部教職員課長の専決事項の単なる「報告」として、前例のない告発が決まりました。
告発に至る経緯を十分説明・協議することなく告発することは職権の乱用であり、それを看過した責任を問います。
 
 上記申し入れに対し、私は誠実な対応を望みますが、期待はしていません。
各方面からこのような抗議を受け、それを認め公にすることは県民の信頼を著しく損なうことになるからです。
逆に私は今回の件で大切なことを知りました。それは、小学校低学年次の担任教諭をはじめ教員として働いてきた同僚である皆様方の信用をもらい、「守る会」が不起訴を勝ち得たことです。権力のない人々の絆の存在です。
 ありがとうございました。



成田北高校への手紙(要請)

  千葉県立成田北高等学校  校長  土屋 俊一 様
                     教職員の皆様

 歳末多忙の折 皆さま方におかれましてはご健勝のことと拝察いたします。
 突然のお手紙で失礼します。
 私は千葉県の個人情報保護条例違反で刑事告発されている元成田北高校教員である秋葉幸一さんを守る会代表の吉岡秀樹と申します。
 私たちは秋葉さんの行為は刑事告発対象にはあたらないとの思いで、この8月25日に「秋葉幸一さんを守る会」を結成し、秋葉さんを支援する活動をしています。会員や支援者は現在80名ほどですが、最近、インターネット上にホームページ(HP)も立ち上げました。
この間、新聞報道やHPを通して秋葉さんの「事件」や「守る会」への関心も高まり、支援の輪も広がっています。
 そこで大変不躾なお願いですが、もしも秋葉幸一さんや「守る会」へ向けた郵便物などが貴校に間違って届くようなことがありましたら、お手数で恐縮ですが、差出人に返送したりする前に「守る会」の代表である吉岡秀樹宛にご連絡をいただきたいと思います。
又、すでに、そのような郵便物などが届いておりましたら、それもあわせてお願い申し上げます。

 さて、秋葉さんの現況をお知らせいたします。この10月26日に千葉地方検察庁(以下地検)に書類が送検されました。
その後、私たちは地検に「秋葉さんを起訴するな」の要請書を提出し、同時に、依頼の弁護士からも同趣旨の「意見書」を提出したところです。現在、秋葉さんは地検の取り調べを受けているところです。
 秋葉さんは手元にあった個人情報を目的外に使用した事実は認めていますが、その目的は、個人情報保護条例の意図する「自己や第三者の不正な利益を図る目的」に相当するとはとても考えられません。それは秋葉さんが生徒に宛てた署名依頼文の末尾の一文「18歳選挙権に伴い国政選挙に行かれることを期待します。・・・夢を信じて、自分のために大切な一票を投じてください。あなたの幸せはあなた自身の力で勝ち取ることを念じています」を読めば明らかです。自分自身のために政治に関心を持って欲しいという秋葉さんの、教え子に向けた思いのこもった一文です。
 また、なぜ秋葉さんのパソコンに生徒情報があったのかは、学校関係者ならだれでも理解できることではないでしょうか。秋葉さんは退職までの4年間、パソコンで生徒情報を管理するシステムの構築を担当(これは校務分掌上のもの)し、退職後も成田北高校からのシステムへの問い合わせに対応する必要があった為そのまま所持していたものです。
一部報道にある「無断持ち出し」とか「不正持ち出し」には全くあたらないと思います。事実、秋葉さんは退職後も何度か成田北高校に出向き、現職教員の相談にのっています。そのことは管理職である当時の教頭先生もご存知のことだったはずです。
 私たちは、昨年の5月20日付の勧告処分でこの問題はすっかり決着がついていたと考えていましたが、その1年後に、県教委は秋葉さんを成田警察署に刑事告発し、現在に至っているわけです。
秋葉さんの行為は、名簿の目的外使用の問題はありますが、個々の教え子に「平和」や「選挙を通しての政治」を考えさせる大事な機会を提供したものであり、刑事告発されるような内容ではありません。

 世間では「若者の政治離れ」が言われています。そのことが一部の大人の政治支配へとつながり、再びあの忌まわしい戦争へ突き進む結果になるのではないかと私たちは危惧しています。高校生には平和な未来や社会を作る役割を担って欲しいのです。そして、先生方にはそれを支えて欲しいのです。今回の秋葉さんの行為は、元教師として、そのことを訴えたものにほかならないと私たちは確信しています。

 ここ2,3日急に冷え込んで参りました。どうか皆さま方におかれましては、十分ご自愛されて、お過ごし下さい。




千葉県個人情報保護条例違反刑事告発を受けて (高退教だより155号 寄稿)

 定年退職して3年が経ちますが、今回私の仕出かしたミスとその後の経過について、特別に本機関紙に掲載の快諾をいただき、大変感謝しております。
私の犯したミスは、退職1年後に卒業生の住所を使い、安全保障関連法廃案のための署名用紙を郵送したことです。在職中はそのようなことは当然出来ませんし、また、政治そのものに関心がなかったのですが、1昨年の9月の強行採決の様子をテレビで見ていて、さすがにこれはないだろうと、なんとしてでも廃案にしなければいけないと思いました。
 教員として自分は何を生徒に残してあげられたのか、また、卒業生に対して何ができ、何をすべきなのかとの思いもありました。
個人情報の目的外使用ということで、県教委より勧告書をもらいました。
このことで、現場の先生方には以前にも増して管理職より情報管理の徹底をきつく言われるようになり、大変なご迷惑をかけることになってしまいました。

 それから1年後、県教委は、教員による後を絶たない不祥事の謝罪の付け足しのように、私を刑事告発すると発表しました。つまり、教員は現職であれ、退職後であれ、厳しく指導しているのだと。そう言いたかったのでしょう。

 話は変わりますが、私の教員としての原点は、初任校である清水高校だと思っています。
ノンポリの新卒が当たり前のように組合に入り、輪番制で職員会議の議長までさせられたときの尋常でない緊張感や、職場会での決議文読み上げで「破綻」を「はじょう」と読んで失笑をかったことを思い出します。
清水高校で沢山のハジをかき、40年後にも世間知らずの行為をしてしまったことは恥ずべきですが、組合員であることの誇りは何年経っても変えられません。 「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンは当時の私にはピンとこなかったのですが、現に今その状況が迫っている。先見の明が組合にあったのだと、今更ながら感心するのです。そして40年経ち、やっと私も組合員らしくなれたのかなと思います。

 県教委による弾圧は、単に私個人だけでなく現場の教員集団への萎縮につながります。ですからこの事件は私だけの問題ではなく、市民あるいは民意として闘うべきものだと思い、私は弁護士をたて、私を応援してくれる市民団体と共に不起訴を勝ち取る運動をしています。ホームページを開設しました。
市民団体の正式名称である「秋葉幸一さんを守る会」で検索するか、直接アドレスバーに http://akiba51.net/ を入力してみてください。
 皆様のご多幸をお祈りいたします。




卒業生に宛てた手紙

お元気ですか。
成田北高校を卒業して1年。皆さんの担任や化学基礎・物理を担当した秋葉です。

今般、はじめて手紙を送ったのは今話題になっている戦争法(安保関連法)を阻止するための全国2千万人統一署名への協力依頼をお話したかったからです。
私がこんなことをするのは勿論初めてですし、政治そのものもまるで素人です。
しかし学校を去り退職し、政治が身近なものであり、また若い人たちがそれに気づかず大変な世の中になっていくのを傍観しているだけではいけないと思うようになりました。
幸い私には多くの教え子がおり、私がどんな人間か知っている若者がたくさんいます。
多くの署名が戦争のない平和な世の中を存続させてくれると信じています。

署名用紙と返信用封筒と郵便切手を同封しました。
同趣旨・同団体の署名を既にしておらず、趣旨に賛同できるようでしたら
名前と住所を自筆で書いて署名してください。
4月いっぱいで取りまとめ、取扱団体をとおして、5月中に国に提出される予定になっています。
取扱団体が「戦争はいらないネットワーク成田」になっていますが、成田市に住んでいなくともかまいません。すべて住所は県名から書いてください。
更にご家族の方の賛同も得られるならば、一緒に署名していただけると幸です。
郵便切手を返信用封筒に貼り投函してください。(署名用紙のFAXは無効です)

趣旨に賛同し署名したいが下宿等で本人が自筆で書けない場合は、本人の承諾があれば 代筆が可能です。
賛同できず署名できない場合は破棄してください。
尚、切手は使えますので何かしらの用に足してください。

最後に、18歳選挙権に伴い夏の国政選挙に行かれることを期待しています。
はじめての選挙。これから世の中とどう関わっていくかの分岐点だとも思います。
夢を信じて、自分のために大切な一票を投じてください。
あなたの幸せはあなた自身の力で勝ち取ることを念じています。